乳がんの初期症状とは?早期発見の重要性やポイントも解説
比較的生存率の高い乳がん。早期発見できれば治癒の可能性も見込めるがんです。では、乳がんの初期症状はどのようなものなのでしょうか。
本記事では、乳がんの症状や早期発見の重要性、ポイントなどについて解説します。セルフチェックについても触れていますので、参考にしてみてください。
目次
乳がんについて
乳がんは乳腺の組織にできるがんです。ほとんどが乳管から発生しますが、一部乳腺小葉から発生することもあります。また、乳房のまわりのリンパ節や離れた臓器へ転移するケースもあります。
乳がんは「ルミナルA型」「ルミナルB型」「HER2型」、いずれの型にも当てはまらない「トリプルネガティブ」の4つのサブタイプが解明されていて、サブタイプごとに治療方針が検討されます。
2019年の統計では、女性の部位別がん罹患数で1位。女性では、30~40代にかけて急増するのが特徴です。乳がん全体の5年相対生存率は92.3%(女性のみ)。早期発見できれば治癒も見込めます。
乳がんの初期症状や代表的な症状
乳がんは、ごく初期の状態では症状に乏しいものです。初期症状として代表的なものは「しこり」。自分で乳房を触ったときにわかることもあり、セルフチェックで発見できることもあります。
その他の症状としては、乳房のくぼみ、左右非対称の形、乳頭や乳輪がただれたり分泌物が出たりする、などがあります。それぞれの症状について、詳しくみていきましょう。
乳房のしこり
乳房内にしこり(腫瘤)ができるのが、乳がんのもっとも代表的な症状です。乳がん以外にも、良性腫瘍や乳腺症などでもしこりができる場合がありますが、乳がんの場合はしこりが硬い、乳房内で動かない、痛みがないなどの特徴があります。
乳房の形状変化
乳房を鏡に映して見たとき、左右の形が非対称になっているケースがあります。大きさ、形の変形をはじめ、片方だけ皮膚の色が赤く変化している、乳房や乳頭のへこみがある、なども注意したいポイントです。
乳頭からの分泌物
乳頭から液状のものが出ることを「乳頭分泌」といいます。妊娠中や授乳期以外で分泌物が出る場合、乳腺症などの場合がありますが、血が混じっているときは特に注意が必要です。しこりがなく、乳頭分泌だけが起こる「無腫瘤性乳がん」と呼ばれるものもあります。
乳頭や乳房のただれ・びらん等
乳頭や乳輪がただれたり、湿疹のようなものができたりしてなかなか改善しない場合、「パジェット病」と呼ばれる乳がんの可能性があります。その他、乳房表面の皮膚の色が赤くなったり、潰瘍ができたりする場合も乳がんの可能性が考えられます。
乳がんの症状について詳しくお知りになりたい方は、こちらからお電話ください。
乳がんの早期発見の重要性
乳がんはステージIの生存率(ネット・サバイバル)が99%であるのに対し、ステージIVは40.5%とされています。(※ネット・サバイバル:がんのみが死因となる状況を仮定して計算した数値)
ほかのがんと比べ、ステージIの生存率は極めて高いといえます。
冒頭で解説したように、2019年の統計では、女性の部位別がん罹患数で1位。一方で、2021年の乳がん死亡数は女性で4位と、罹患数に対して死亡数は低めです。発症数は多いですが、乳がんを克服した患者も多いということが数値に表れていると考えられるでしょう。
これらのことから、乳がんは早期発見できれば治癒する可能性が高いといえます。また、乳がんはリンパ節や肺、骨へ転移しやすいがんとされていることも、早期発見が重要である理由のひとつです。
出典:乳がん 2015年5年生存率|国立研究開発法人 国立がん研究センター
乳がんを早期発見するために
乳がんを早期発見するには、セルフチェック、検診、各種検査などが有効です。それぞれについて解説します。
乳がんのセルフチェック
乳がんはセルフチェックで発見できる可能性があります。しこりや変形、ただれなどは見た目でわかるので、習慣化すると良いでしょう。月経がはじまってから1週間後くらいに行うと、乳房の張りが取れてしこりが分かりやすいです。
関連ページ:乳がんのチェック方法は?セルフチェックや病院での検査について解説
乳がん検診
乳がん検診は、厚生労働省が「科学的根拠に基づくがん検診」として、40歳以上の女性を対象に2年に1度受診することが推奨されています。ほとんどの自治体で、無償や一部自己負担で検診を受けられます。
検診は、問診とマンモグラフィを行います。現状、乳がん死亡率減少効果の科学的根拠が証明されているのは、マンモグラフィ検査のみとされています。
遺伝子検査
乳がんのうち5~10%は遺伝性乳がんといわれています。遺伝性乳がんに関わるBRCA遺伝子に変異があるかどうかを調べる「BRCA1/2遺伝子検査」は、一定の条件を満たしていれば保険適用となります。
その他、保険適用外の遺伝子検査もあります。がんの超早期発見や、がんにかかりやすいかどうかなどを調べることを目的とする検査です。
関連ページ:
がんは遺伝する?遺伝するがんや遺伝子検査などについて解説
遺伝子検査|GENEクリニック
ブレスト・アウェアネス
乳がんの早期発見や診断、治療につながる生活習慣として、「ブレスト・アウェアネス」という考え方が提唱されています。セルフチェックとは意味合いが異なり、日ごろの乳房の状態を知ったり意識したりすることに重点を置く考え方です。
「ブレスト・アウェアネス」を身につけるために実践が推奨されていることは、以下の4つです。
- ①自分の乳房の状態を知るために,日頃から自分の乳房を,見て,触って,感じる(乳房のセルフチェック)
- ②気をつけなければいけない乳房の変化を知る(しこりや血性の乳頭分泌など)
- ③上記②の乳房の変化を自覚したら,なるべく早く医療機関を受診する
- ④40歳になったら定期的に乳がん検診を受ける
生活習慣のなかで乳房を意識し、日常の乳房の状態を知ることで異常に気づくことができれば、乳がんの早期発見に役立つでしょう。
関連ページ:
乳がんの予防はできるのか?乳がんの原因と予防
乳がんの原因とは?予防や早期発見の可能性についても解説
乳がんの末期症状とは?検査方法や術後の療養・生存率について