皮膚がんの見分け方について|ほくろとの違いや注意したい症状についても解説
皮膚がんはほくろに似たものが多く、見分け方が難しいものです。皮膚がんの5年生存率は比較的高く、早期発見できれば予後が良好とされています。一方で、進行すると転移することもあります。
本記事では、皮膚がんの早期発見を目指すために、ほくろとの見分け方を中心に解説します。
目次
皮膚がんとは
皮膚がんとは、「皮膚がん」という一つのがんを指すのではなく、皮膚にできる悪性腫瘍の総称のことを指します。皮膚がんの多くは、人口10万人あたりの罹患が6例未満の「希少がん」に該当します。
皮膚がんは「悪性黒色腫(メラノーマ)」「基底細胞がん」「有棘(ゆうきょく)細胞がん」「乳房外パジェット病」「メルケル細胞がん」などがあり、悪性度が高いものが「悪性黒色腫(メラノーマ)」といわれています。皮膚の中でがん化した部位により治療法が異なりますので、まずは皮膚がんの種類を確定することが大切です。
皮膚がん全体の5年相対生存率は94.6%。早期発見できれば予後が良好とされています。
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皮膚がんの種類と症状などの特徴
先述したように、皮膚がんは皮膚にできる悪性腫瘍のことをいいます。さまざまな皮膚腫瘍がありますが、ここでは代表的な悪性腫瘍である「悪性黒色腫(メラノーマ)」「基底細胞がん」「有棘(ゆうきょく)細胞がん」「乳房外パジェット病」の症状などの特徴について解説します。
悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫は、メラノサイトという皮膚細胞ががん化するもので、皮膚がんのなかでも悪性度が高いとされています。人口10万人あたりの罹患者は1~2人で、希少がんに分類されます。
悪性黒色腫は、そのなかで複数のタイプに分類されます。
- ・末端黒子型:日本人に多いタイプで、手のひらや足の裏、爪などに発生しやすい。
- ・悪性黒子型:顔面に発生しやすく、不規則な形のシミが徐々に広がるタイプ。
- ・表在拡大型:色白の人に多いタイプで、胸・背中・お腹など身体の中心部や手足の付け根に発生しやすい。黒い平らな腫瘍であることが多い。
- ・結節型:発生部位に特徴はなく、結節のようながん細胞のかたまりが徐々に大きくなっていくタイプ。
悪性黒色腫は小さなものでも転移しやすく、ほくろと区別がつきにくいため、発見が遅れることも多い皮膚がんです。リンパ管、血管を通って全身に転移することもありますので、できるだけ早期に発見することが重要です。
基底細胞がん
基底細胞がんは、表皮の最下層にある基底細胞や毛包の細胞から発生する腫瘍。日本人の皮膚がんのなかでもっとも多く発生するといわれています。顔面に発生するケースが多いため、紫外線や放射線が発症の原因と考えられています。
痛みやかゆみなどの症状を伴うことはあまりありません。黒いほくろのような斑点が集まって、大きくなると中央部分が凹んで潰瘍となり、周辺組織を破壊しながら進行していくことがあります。転移する可能性は低いがんとされています。
有棘(ゆうきょく)細胞がん
有棘細胞がんは、表皮にある有棘層の細胞が悪性化する腫瘍。基底細胞がんに次いで、発生頻度が高い皮膚がんとされています。
以前はやけどの痕や放射線治療後の皮膚炎から発生するケースが多くみられましたが、近年は頭皮や顔面に発生するケースが多く、紫外線の影響が大きいと考えられています。
症状は、皮膚の一部が赤くなることが多く、いぼのようなしこりができます。びらんや潰瘍になると、出血したり角化性結節ができたりして皮膚が硬くなることがあります。進行すると、腫瘤から体液が染み出し、悪臭が発生することもあります。早期発見できれば、治癒する可能性は高いがんとされています。
乳房外パジェット病
「がん」という名称はついていませんが、乳房外パジェット病も皮膚がんの一種。アポクリン汗腺の細胞が変化して発生すると考えられています。
発生部位は、肛門のまわり、外陰部、わきの下などが多く、ただれやかゆみを伴うことがあります。他の病気と症状が似ているため発見が遅れやすく、真皮に浸潤すると、リンパ節や他臓器に転移することもあります。
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皮膚がんの見分け方
ここでは、皮膚がんとほくろの違いや、特に注意したい症状について解説します。
皮膚がんとほくろの違い
皮膚がん(特に悪性黒色腫)とほくろは見た目が似ていて間違いやすいものです。皮膚がんとほくろの違いについて、詳しく解説します。
皮膚がんは成長が早い
皮膚がんはほくろに比べて成長が早いといわれています。特に悪性黒色腫は大きさの目安が6mmを超えるものとされており、数年のあいだに6mmを超えるような成長をした場合は注意が必要です。急に数が増える場合も、皮膚がんの疑いがあります。
左右非対称の形状
一般的にほくろは円形や楕円形です。一方で皮膚がんは、左右非対称の形であることが多いです。
境界があいまい
縁がギザギザになっていたり、境界がぼやけていたりする場合も、皮膚がんが疑われます。色の濃淡が混じり、「墨汁を落としたようなにじみ」と表現されることもあります。
特に注意したい症状
皮膚がんにおいて特に注意したい症状は、以下のとおりです。
・ここ数ヵ月の間にほくろが大きくなった、盛り上がってきた、出血した
・シミが大きく(6mm以上)広がってできた
・左右非対称でフチがギザギザとしたほくろができた
・爪に黒い線が入った
・顔や手、お尻などにできた湿疹がステロイド軟膏を使っても、2週間以上治らない
・昔やけどしたり怪我した部分に、湿疹のようなものができて治らない
・陰部や肛門周辺などに、赤い斑点や皮膚の一部が白くなったような湿疹ができた
・最近、頭をぶつけたところの、あざが治らない
・以前リンパ節を郭清し、リンパ浮腫があった腕や足にあざのようなものができた
皮膚がんを見分けるための検査
皮膚がんを見分けるため、また、皮膚がんの種類を確定するためには検査が必要です。悪性黒色腫や基底細胞がんの疑いがある場合、一般的には「ダーモスコピー検査」が行われます。ダーモスコピー検査は視診の一種で、ダーモスコープと呼ばれる拡大鏡を用います。病変部を10~20倍に拡大して診るため、精度が高いことで知られています。
そのほか、皮膚の一部を切除する皮膚生検や、リンパ節への転移を調べるためのセンチネルリンパ節生検を行うこともあります。
皮膚がんは早期発見が重要
冒頭で解説したように、皮膚がん全般の5年相対生存率は94.6%とされています。早期発見できれば治癒が期待でき、予後も良好ながんです。
ただし、初期の皮膚がんは痛みやかゆみといった症状が出にくく、ほくろやシミとの区別がつきにくいものです。発見が遅れがんが表皮の下の真皮に浸潤すると、血液やリンパ液に乗って転移する可能性が出てきます。
見分け方を参考に、疑わしい症状があれば早期に医療機関を受診することを推奨します。