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胃がんの末期症状や検査方法、5年生存率について

日本人の罹患率が高い胃がん。早期では症状が出にくいともいわれており、診断された時には末期ということもあります。

本記事では、胃がん末期の状態や症状、ステージや5年生存率について解説します。記事末では療養についても触れていますので、参考にしてみてください。

目次

胃がんとは

胃がんとは

胃がんは、胃壁の粘膜に発生するがんです。組織型により、大きく「分化型」と「未分化型」に分類されます。分化型は進行が緩やか、未分化型は進行が速いとされ、スキルス胃がんは未分化型が多いです。また、未分化型はがん細胞がまとまっておらず、胃壁に散らばるケースも多いとされています。

胃がんは大きくなるにつれ、粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に向かって深く進んでいきます。さらに進行すると、膵臓・肝臓・大腸・横隔膜などに浸潤していくこともあります。また、がんが漿膜の外側を超えてお腹にがん細胞が散らばる「腹膜播種」が起こったり、がん細胞が血液やリンパ液に乗って、離れた他臓器に転移する可能性もあります。

進行が速いといわれているスキルス胃がんは、胃壁を硬く厚くさせながら広がるがんです。腹膜播種が起こりやすいことも特徴のひとつです。

日本国内では罹患数が多いがんとされ、2018年の統計では男性の罹患数が3位でした。

出典:がん種別統計情報 胃|国立研究開発法人 国立がん研究センター

胃がんの原因

胃がんの原因

胃がんの原因は、主にピロリ菌と考えられています。胃がん罹患者のピロリ菌感染率は90%以上とされていて、隠れ陽性者も含めたピロリ菌感染者の胃がん発生リスクは、非感染者の10倍ほどといわれています。

その他、喫煙や食生活なども胃がんの発生と関連していると考えられています。

胃がん末期の状態や症状

胃がん末期の状態や症状

胃がんは早期では症状が出にくいといわれています。進行してくると、食欲不振・胸やけ・吐き気・背中や胸の痛み・倦怠感などの症状が出てきます。

末期になると、胃での消化や胃からの栄養吸収が困難になります。また、腹水が溜まりやすくなり、腹部膨満感や浮腫、排尿障害なども起こります。さらに、吐血や下血による貧血を引き起こしたり、タール便が出たりすることもあります。スキルス胃がんについても、おおむね同様の症状です。

なお、「がん末期」については厚生労働省が以下のように定義しています。

「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不能と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」

出典:特定疾病における「がん末期」の取扱い等について|厚生労働省

胃がんの症状について詳しくお知りになりたい方は、こちらからお電話ください。

胃がんのステージと5年生存率

胃がんのステージと5年生存率

胃がんのステージはI期~IV期までの4段階で、がんの深さ(深達度)や領域リンパ節転移、遠隔転移の有無などにより決められます。それぞれのステージについて解説します。

ステージIA期・IB期

胃がんのステージI期は、IA期とIB期に分けられます。

IA期

がんが粘膜層にとどまり、領域リンパ節転移・遠隔転移なし。

IB期

がんが粘膜下層にとどまり、領域リンパ節への転移は2個まで、遠隔転移なし。またはがんが固有筋層に入り込んでいる、あるいは浸潤していて、領域リンパ節転移・遠隔転移なし。

概ね、ここまでを「早期胃がん」といいます。ステージI期における5年生存率は95.6~96.3%とされています。

ステージIIA期・IIB期

胃がんのステージII期も、IIA期とIIB期に分けられます。

IIA期

がんが粘膜層または粘膜下層にとどまり、領域リンパ節転移が3~6個・遠隔転移なし。

IIB期

がんが固有筋層に入り込んでいる、あるいは浸潤していて、領域リンパ節転移が1~2個・遠隔転移なし。またはがんが固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤していて、領域リンパ節転移・遠隔転移なし。

概ね、ここからが「進行胃がん」といわれます。ステージII期における5年生存率は68.5~70.7%とされています。

ステージIIIA期・IIIB期・IIIC期

胃がんのステージIII期はIIIA期・IIIB期・IIIC期の3つに分けられ、次のいずれかの状態を指します。

IIIA期

  • ・がんが固有筋層に入り込んでいる、あるいは浸潤していて、領域リンパ節転移が7~15個・遠隔転移なし。
  • ・がんが固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤していて、領域リンパ節転移が3~6個・遠隔転移なし。
  • ・がんが漿膜を越えて胃の表面に出ていて、領域リンパ節転移が1~6個・遠隔転移なし。
  • ・がんが胃の表面に出たうえに、他臓器にも広がっていて、領域リンパ節転移・遠隔転移なし。

IIIB期

  • ・がんが粘膜層または粘膜下層にとどまり、領域リンパ節転移が16個以上・遠隔転移なし。
  • ・がんが固有筋層に入り込んでいる、あるいは浸潤していて、領域リンパ節転移が16個以上・遠隔転移なし。
  • ・がんが固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤していて、領域リンパ節転移が7~16個・遠隔転移なし。
  • ・がんが漿膜を越えて胃の表面に出ていて、領域リンパ節転移が7~16個・遠隔転移なし。
  • ・がんが胃の表面に出たうえに、他臓器にも広がっていて、領域リンパ節転移が1~6個・遠隔転移なし。

IIIC期

  • ・がんが固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤していて、領域リンパ節転移が16個以上・遠隔転移なし。
  • ・がんが漿膜を越えて胃の表面に出ていて、領域リンパ節転移が16個以上・遠隔転移なし。
  • ・がんが胃の表面に出たうえに、他臓器にも広がっていて、領域リンパ節転移が7~16個以上・遠隔転移なし。

ステージIII期における5年生存率は41.3~43.2%とされています。

ステージIV期

がんの深達度や領域リンパ節転移にかかわらず、他臓器への遠隔転移がみられる場合はステージIVとされます。スキルス胃がんの場合は早期発見が難しいことから、発見時にはステージ4であることもあります。

ステージIV期における5年生存率は5.9~6.6%とされています。

参考:院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 胃がん 2013-2014年5年生存率|国立研究開発法人 国立がん研究センター

胃がんの検査や確定診断の方法

胃がんの検査や確定診断の方法

ここでは、胃がんの検査や確定診断の方法について解説します。

血液検査・腫瘍マーカー検査

血液検査では炎症反応、腫瘍マーカー検査では、CEAやCA19-9という数値を調べます。どちらも血液を採取する検査です。

内視鏡検査

内視鏡を直接胃の内部に挿入し、病変や広がりなどを調べる検査です。そのまま病変部分を採取して、確定診断のために病理検査をすることもあります。超音波内視鏡を使用し、がんの深さやリンパ節転移、周辺臓器への転移を調べることもあります。

X線検査(バリウム検査)

バリウム(造影剤)を飲み、X線を用いて胃粘膜の状態や胃の形などを撮影する検査です。

CT検査・MRI検査

どちらも身体の内部の断面を撮影する検査です。CTはX線、MRIは磁気を用いる機械です。他臓器やリンパ節転移、周辺臓器への転移・浸潤などを調べます。

その他の検査

・PET検査

リンパ節や他臓器転移の有無が通常のCT検査で判断できない場合に用いられます。

・注腸検査/大腸内視鏡検査

胃の近くの大腸へのがんの広がりを調べたり、腹膜播種による大腸への影響を調べたりする検査です。

・審査腹腔鏡

腹膜播種が疑われる場合に、正確なステージの診断を目的に行われる検査です。

胃がん末期における療養

胃がん末期における療養

先述したように、胃がんステージIVの生存率が10%以下とされていることから、末期における予後は不良とされています。手術や治療の状況により療養が必要となる場合もあるでしょう。

外科手術(胃切除)をした場合の代表的な症状として、「ダンピング症候群」と呼ばれるものがあります。手術前は食べ物が胃から少しずつ腸に入っていたのが、胃を切除したことにより腸に直接流れるようになるために起こる症状です。

「ダンピング症候群」には、「早期ダンピング症候群」と「後期ダンピング症候群」とがあります。

食後すぐに起こり、動悸やめまい、冷や汗などが出るのが「早期ダンピング症候群」で、消化していない食べ物が急に小腸内に入ることが原因とされています。食事の回数や1回あたりの食事量を減らし、ゆっくり噛むことが予防につながります。

食後2~3時間後に起こり、めまいや脱力感、震えなどが出るのが「後期ダンピング症候群」です。糖質が急に腸で吸収されてインスリンが大量分泌し、血糖値が下がりすぎるのが原因とされています。すぐに飴をなめるなどの対処方法があり、糖分の摂取を控えることが予防につながります。

そのほか、逆流性食道炎や貧血なども起こりやすいといわれています。夕食を早めに摂る、脂肪分の多い食事は避けるなど、食生活にも注意が必要です。

胃がんにおける療養について詳しくお知りになりたい方は、こちらからお電話ください。

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