胃がんのステージ3とは?ステージの詳細や胃がんの原因、予防などについて解説
胃がんのステージ3とはどのような状態を指すのでしょうか。胃がんのステージは、がんの深達度や転移の有無などにより決められています。本記事では、胃がんのステージの詳細や原因、予防などについて解説していますので、参考にしてみてください。
目次
胃がんとは
胃がんとは、胃壁の内側の粘膜にできるがんです。がんが大きくなるにつれ外側へ広がり、粘膜下層、固有筋層、漿膜へ深く浸潤していきます。ここでは、胃がんの種類と統計について解説します。
胃がんの種類(組織型分類)
胃がんの組織型分類では、分化型と未分化型に分けられ、そのほとんどが「腺がん」とされています。一般的に、未分化型は進行が早く、分化型は進行が緩やかといわれています。
未分化型の場合、がん細胞が胃壁にバラバラ散らばる形で広がっていくものが多いということもわかっています。
また、胃がんには、胃壁を厚く硬くさせながら広がっていく「スキルス胃がん」というものがあり、その多くは未分化型です(分化型のスキルス胃がんもあります)。
スキルス胃がんは、一般的に進行が早く、腹膜播種を起こしやすいがんです。
胃がんの統計
2019年の統計によると、胃がんは年間に12万人ほどが罹患しています。罹患数・死亡数ともに上位に入るがんで、日本国内では罹患しやすいがんといえます。2019年・2021年の統計では、男女ともに罹患数・死亡数が5位以内に位置しています。
年齢別の罹患率は、男女ともに50代以降で上昇傾向にあり、死亡率は60代以降が高くなっています。
出典:
がん種別統計情報 胃|国立がん研究センター がん情報サービス
最新がん統計|国立がん研究センター がん情報サービス
胃がんのステージ3とは?
胃がんのステージは、I期(ステージ1)~IV期(ステージ4)に分類されます。数字が進むにつれ、進行している状態を示します。
胃がんが進行すると、粘膜下層、固有筋層、漿膜と外側に広がっていきます。さらに進行すると、漿膜の外側にも広がり、大腸・膵臓・横隔膜などに浸潤していくことや、離れた臓器に転移することもあります。
また、漿膜の外側に広がった場合、がん細胞がおなかの中に散らばる「腹膜播種」が起こるケースも出てきます。胃がんのステージは、このようながんの深達度や転移の有無をもとに確定されています。
なお、胃がんのステージを確定させるために、TNM分類というものを用います。
- Tカテゴリー:がんの深達度
- Nカテゴリー:領域リンパ節への転移の有無
- Mカテゴリー:遠隔転移の有無
以下に、胃がんの深達度や転移の状態を解説します。
胃がんの深達度(Tカテゴリー)
胃がんの深達度を表すTカテゴリーは、以下のように分類されます。
T1 | がんが粘膜、粘膜下層にとどまっている |
T1a | がんが粘膜層にとどまっている |
T1b | がんが粘膜下層にとどまっている |
T2 | がんが固有筋層に入り込んでいる、あるいは浸潤している |
T3 | がんが固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤している |
T4a | がんが漿膜を越えて胃の表面に出ている |
T4b | がんが胃の表面に出た上に、他の臓器にも広がっている |
胃がんのステージ(臨床分類)
胃がんの臨床分類は、主に治療方針を決める際に用いられ、がんの広がりを推定する指標です。
遠隔転移 | なし (M0) |
あり (M1) |
|
領域リンパ節 深達度 |
なし (N0) |
あり (N+) |
有無に関わらず |
T1a/T1b、T2 | I | II A | IV B |
T3、T4a | II B | III | |
T4b | IV A |
胃がんのステージ(病理分類)
胃がんの病理分類も、治療方針を決める際に用いられます。手術で切除した病変を病理診断し、がんの広がりを調べた指標です。
遠隔転移 | なし (M0) |
あり (M1) |
||||
領域リンパ節転移 深達度 |
なし (N0) |
1~2個 (N1) |
3~6個 (N2) |
7~15個 (N3a) |
16個以上 (N3b) |
有無に関わらず |
T1a、T1b | IA | IB | IIA | IIB | IIIB | IV |
T2 | IB | IIA | IIB | IIIA | IIIB | |
T3 | IIA | IIB | IIIA | IIIB | IIIC | |
T4a | IIB | IIIA | IIIA | IIIB | IIIC | |
T4b | IIIA | IIIB | IIIB | IIIC | IIIC |
胃がんのステージ3の状態
胃がんのステージ3の状態は、上記病理分類の表において、IIIA・IIIB・IIICに分類されています。また、胃がんのステージ3のネット・サバイバルは、41.3%とされています。
※ネット・サバイバル:純粋に「がんのみが死因となる状況」を仮定して計算する方法
ステージ3のIIIA・IIIB・IIICの状態について、以下で詳しく解説します。
出典:
院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 胃がん 2014-2015年5年生存率|国立がん研究センター
胃がんのステージ3:IIIA
- ・がんが固有筋層に入り込んでいる、あるいは浸潤していて、領域リンパ節への転移が7~15個、遠隔転移なし
- ・がんが固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤していて、領域リンパ節への転移が3~6個、遠隔転移なし
- ・がんが漿膜を越えて胃の表面に出ていて、領域リンパ節への転移が1~2個または3~6個、遠隔転移なし
- ・がんが胃の表面に出た上に、他の臓器にも広がっていて、領域リンパ節への転移なし、遠隔転移なし
胃がんのステージ3:IIIB
- ・がんが粘膜、粘膜下層にとどまっていて、領域リンパ節への転移が16個以上、遠隔転移なし
- ・がんが固有筋層に入り込んでいる、あるいは浸潤していて、領域リンパ節への転移が16個以上、遠隔転移なし
- ・がんが固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤していて、領域リンパ節への転移が7~15個、遠隔転移なし
- ・がんが漿膜を越えて胃の表面に出ていて、領域リンパ節への転移が7~15個、遠隔転移なし
- ・がんが胃の表面に出た上に、他の臓器にも広がっていて、領域リンパ節への転移が1~2個または3~6個、遠隔転移なし
胃がんのステージ3:IIIC
- ・がんが固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤していて、領域リンパ節への転移が16個以上、遠隔転移なし
- ・がんが漿膜を越えて胃の表面に出ていて、領域リンパ節への転移が16個以上、遠隔転移なし
- ・がんが胃の表面に出た上に、他の臓器にも広がっていて、領域リンパ節への転移が7~15個または16個以上、遠隔転移なし
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胃がんの原因
胃がんの原因の主なものは、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)への感染と、生活習慣と考えられています。それぞれについて解説します。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)への感染
胃がんの約90%はピロリ菌への感染が原因であるという研究結果があります。
ピロリ菌に感染すると、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍などに罹患しやすくなり、とくに慢性胃炎から萎縮性胃炎と変化したものが胃がんになるケースが多いといわれています。
以前は飲み水からの感染の可能性が高いと考えられていましたが、衛生環境が改善されてきた現在は、唾液を介した感染が多いと考えられています。また、現在は若年層のピロリ菌感染率は低下しています。
生活習慣
生活習慣の面で、胃がんの発生要因として明らかになっているものは喫煙です。その他、高塩分食品の摂取も、胃がん発生のリスクを高めることが明らかになっています。
関連ページ:胃がんの原因は何?ピロリ菌との関係や予防などについて解説
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胃がんの予防と早期発見のポイント
最後に、胃がんの予防と早期発見のポイントについて解説します。
胃がんの予防
先述したとおり、胃がんの発生原因のひとつはピロリ菌への感染です。ピロリ菌を除菌することは、胃がんの予防に対し効果的といえるでしょう。ピロリ菌の除菌は、「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」と診断されれば、保険適用の対象となります。
また、生活習慣面の予防としては禁煙したり、高塩分食の摂りすぎに注意することなどが挙げられます。
その他、がん全般の予防として、節度のある飲酒、バランスのとれた食事、適度な運動、適正な体形の維持、感染の予防が推奨されています。
胃がんの早期発見のポイント
胃がんを早期発見するためには、定期的な検診の受診が有効となります。
厚生労働省では、科学的根拠に基づいて効果があるがん検診として、胃がん検診を推奨しています。胃がん検診は、50歳以上の男女を対象に、2年に1回、無償または一部自己負担で受けられます。
また、ピロリ菌を除菌した場合でも胃がんが発生するケースは考えられるため、検診は受診したほうがよいでしょう。
その他、がんにかかりやすいかどうかや、がんの超早期発見を目的とした遺伝子検査は、有償ですが早期発見に役立つといえます。
関連ページ:
遺伝子検査|GENEクリニック
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