胃がんのステージ|ステージの詳細や早期発見について解説
胃がんのステージについて、詳しく知りたい方は多いのではないでしょうか。胃がんは日本人の罹患率が高いがんとして知られていますので、身近に胃がんに罹った人がいる、という方も多いと思います。
本記事では、胃がんのステージについて解説するとともに、ステージ以外の分類や、予防・早期発見についても触れています。ぜひ参考にしてみてください。
目次
胃がんの分類|ステージ分類・組織型分類
胃がんの分類には、「ステージ分類」と「組織型分類」があります。それぞれについて解説します。
胃がんのステージ分類
がんの進行を示す分類として、「ステージ(病期)」があります。
胃がんについては、ステージ1(I期)~ステージ4(IV期)の4段階に分類され、概ねステージ1が早期がん、ステージ2以降は進行がんとされています。胃がんの治療方針は、ステージの分類や身体の状態、がんの性質等により検討されます。
ステージの分類についての詳細は、後述します。また、以下の記事でもステージについて解説していますので、参考にしてみてください。
関連ページ:
胃がんのステージ3とは?ステージの詳細や胃がんの原因、予防などについて解説
胃がんのステージ4とは?検査方法や手術後の療養について解説
胃がんの組織型分類
胃がんは、ステージとは別の分類として、細胞や組織の特徴などから行う組織型分類もあります。
胃がんのほとんどは「腺がん」に分類されます。そのなかで、さらに「分化型」「未分化型」に分かれます。
「分化型」は、進行が緩やかで、ある程度がん細胞がまとまっていることが特徴です。「未分化型」は、進行が早く、がん細胞が胃壁に浸み込むように広がる特徴があります。スキルス胃がんには、未分化型が多いとされています。
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胃がんのステージ
胃がんのステージは、がんの深達度、領域リンパ節への転移の有無、遠隔転移の有無の、TNMカテゴリーにより決められます。
Tカテゴリー:がんの深達度(がんの深さ)
Nカテゴリー:領域リンパ節(胃の付近にあるリンパ節)への転移の有無
Mカテゴリー:遠隔転移(離れた臓器やリンパ節への転移)の有無
早期がんか進行がんかについては、厳密には「がんの深達度が粘膜および粘膜下層にとどまるもの(T1)」が早期がん、「粘膜下層を越えて広がるもの」を進行がんといいます。
以下、表を用いて深達度やステージ(臨床分類/病理分類)について解説します。
胃がんの深達度(Tカテゴリー)
胃がんの深達度(がんの深さ)を表すTカテゴリーは、以下のように分類されます。
T1 | がんが粘膜、粘膜下層にとどまっている |
T1a | がんが粘膜層にとどまっている |
T1b | がんが粘膜下層にとどまっている |
T2 | がんが固有筋層に入り込んでいる、あるいは浸潤している |
T3 | がんが固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤している |
T4a | がんが漿膜を越えて胃の表面に出ている |
T4b | がんが胃の表面に出た上に、他の臓器にも広がっている |
胃がんのステージ(臨床分類)
胃がんの臨床分類は、検査結果をもとにがんの広がりを推定する指標です。主に治療方針を決める際に用いられます。
遠隔転移 | なし (M0) |
あり (M1) |
|
領域リンパ節 深達度 |
なし (N0) |
あり (N+) |
有無に関わらず |
T1a/T1b、T2 | I | II A | IV B |
T3、T4a | II B | III | |
T4b | IV A |
胃がんのステージ(病理分類)
胃がんの病理分類は、手術で切除した組織を病理診断し、がんの広がりを調べた指標です。病理分類も、治療方針を決める際に用いられます。なお、手術前の検査による臨床分類とは一致しないケースもあります。
遠隔転移 | なし (M0) |
あり (M1) |
||||
領域リンパ節転移 深達度 |
なし (N0) |
1~2個 (N1) |
3~6個 (N2) |
7~15個 (N3a) |
16個以上 (N3b) |
有無に関わらず |
T1a、T1b | IA | IB | IIA | IIB | IIIB | IV |
T2 | IB | IIA | IIB | IIIA | IIIB | |
T3 | IIA | IIB | IIIA | IIIB | IIIC | |
T4a | IIB | IIIA | IIIA | IIIB | IIIC | |
T4b | IIIA | IIIB | IIIB | IIIC | IIIC |
胃がんの各ステージの状態や生存率
ここからは、胃がんの各ステージの状態について詳しく解説します。生存率にも触れていますが、あくまで統計であり、必ずしも個々の例に当てはまるとは限りません。
胃がん|ステージ1(I期)
先述したとおり、胃がんのステージ1は、概ね早期がんといえる状態です。ステージ1は、さらに2つに分類され、下記のいずれかの状態を指します。
IA:
- ・がんが粘膜内に限局していて、リンパ節への転移なし
- ・がんが粘膜下層に達していて、リンパ節への転移なし
IB:
- ・がんが粘膜内に限局しているか、または粘膜下層に達していて、領域リンパ節への転移が1~2個
- ・がんが筋層に達していて、リンパ節への転移なし
ネット・サバイバル(5年生存率)は92.8%とされています。
※ネット・サバイバル:がんのみが死因となる状況を仮定した計算方法
胃がん|ステージ2(II期)
胃がんのステージ2以降は、概ね進行がんとなります。ステージ2もさらに2つに分類され、下記のいずれかの状態を指します。
IIA:
- ・がんが粘膜内に限局しているか、または粘膜下層に達していて、領域リンパ節への転移が3~6個
- ・がんが筋層に達していて、領域リンパ節への転移が1~2個
- ・がんが胃の筋層を超え、漿膜下層に達していて、リンパ節への転移なし
IIB:
- ・がんが粘膜内に限局しているか、または粘膜下層に達していて、領域リンパ節への転移が7~15個
- ・がんが筋層に達していて、領域リンパ節への転移が3~6個
- ・がんが胃の筋層を超え、漿膜下層に達していて、領域リンパ節への転移が1~2個
- ・がんが漿膜を超え、胃の表面に出ていて、リンパ節への転移なし
ネット・サバイバル(5年生存率)は67.2%とされています。
胃がん|ステージ3(III期)
胃がんのステージ3は、さらに3つに分類され、下記のいずれかの状態を指します。
IIIA:
- ・がんが筋層に達していて、領域リンパ節への転移が7~15個
- ・がんが胃の筋層を超え漿膜下層に達しているか、がんが漿膜を超え胃の表面に出ていて、領域リンパ節への転移が3~6個
- ・がんが漿膜を超え、胃の表面に出ていて、領域リンパ節への転移が1~2個
IIIB:
- ・がんが粘膜内に限局しているか、または粘膜下層に達しているか、または筋層に達していて領域リンパ節への転移が16個以上
- ・がんが胃の筋層を超え漿膜下層に達しているか、がんが漿膜を超え胃の表面に出ていて、領域リンパ節への転移が7~15個
- ・がんが胃の表面を出た上に他の臓器にも続いていて、領域リンパ節への転移が1~6個
IIIC:
- ・がんが胃の筋層を超え漿膜下層に達しているか、がんが漿膜を超え胃の表面に出ているか、またはがんが胃の表面を出た上に他の臓器にも続いていて、領域リンパ節への転移が16個以上
- ・がんが胃の表面を出た上に他の臓器にも続いていて、領域リンパ節への転移が7~15個
ネット・サバイバル(5年生存率)は41.3%とされています。
胃がん|ステージ4(IV期)
胃がんのステージ4の状態は、がんの深達度やリンパ節への転移の有無に関わらず、胃の領域リンパ節以外(離れた臓器等も含む)へ転移している状態です。
進行が早く、がんが散らばりやすいスキルス胃がんは、発見時にステージ4と診断されるケースもあります。
ネット・サバイバル(5年生存率)は6.3%とされています。
出典:胃がん 2014-2015年5年生存率|国立研究開発法人 国立がん研究センター
気になる症状がある方や、胃がんの検査について詳しくお知りになりたい方は、こちらからお電話ください。
胃がんの予防と早期発見
最後に、胃がんの原因と予防、早期発見のポイントについて解説します。
胃がんの予防
胃がんの約90%は、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)への感染が原因であるという報告があり、ピロリ菌の除菌は胃がんの予防に効果的といえます。ピロリ菌の除菌は、「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」と診断されれば、保険適用の対象となります。
生活習慣の面では、喫煙がリスク要因として明らかになっているため、禁煙は有効な予防法といえるでしょう。
食生活の面では、塩分・高塩分食品の摂りすぎが胃がんの発生リスクを高めるとされており、それらの食品を控えることも有効です。
その他、節酒や適度な運動、適正体重の維持なども、がん全般の予防として推奨されています。
関連ページ:胃がんの原因は何?ピロリ菌との関係や予防などについて解説
胃がんの早期発見
胃がんのステージ1のネット・サバイバル(生存率)が92.8%であるのに対し、ステージ4では6.3%となることからも、早期発見が重要だということがわかります。
早期発見や再発予防のポイントは、定期的な検診の受診や医療機関の受診です。胃がん検診は国が推奨する検診で、50歳以上の男女を対象に、2年に1回、無償または一部自己負担で受けられます。
また、保険適用なしの遺伝子検査や遺伝子治療もあり、がんの超早期発見や再発予防が期待できます。
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