子宮がんの検査|子宮がん検診や初期症状、予防などについても解説
子宮がんの検査では、どのようなことを行うのでしょうか。本記事では、子宮頸がん検診で「要精密検査」となった場合や、なんらかの自覚症状がある場合などに行われる、子宮がんの検査について解説します。
子宮頸がんと子宮体がんに分けて詳しく解説しますので、参考にしてみてください。
目次
子宮がんの検査・検診の必要性
子宮がんは、子宮頸部にできる「子宮頸がん」と、子宮体部にできる「子宮体がん(子宮内膜がん)」があります。
子宮頸がんは、20代前半から罹患数が増加傾向になり、30代~50代の罹患数がもっとも多いとされているがんです。前がん状態を含めると、20代~30代の罹患数がもっとも多くなります。
子宮体がんの罹患数は、40代から増加傾向になり、50代がピークです。
子宮頸がんのネット・サバイバル(生存率)は、ステージIで94.9%、ステージIVで25.9%とされており、子宮体がんのネット・サバイバルは、ステージIで94.7%、ステージIVで21.5%とされています。
※ネット・サバイバル:がんのみが死因となる状況を仮定して、生存率を計算する方法
いずれもステージIのネット・サバイバルが高いことから、早期発見が重要であることがわかります。また、早期発見できれば比較的予後が良いがんとされますが、進行した場合は治療が難しくなることもあります。
早期発見のためには、気になる症状があったら病院を受診して検査を受けることや、定期的な検診の受診が必要といえるでしょう。
出典:
子宮頸がん 2014-2015年5年生存率|国立研究開発法人 国立がん研究センター
子宮体がん 2014-2015年5年生存率|国立研究開発法人 国立がん研究センター
子宮がんの検査について詳しくお知りになりたい方は、こちらからお電話ください。
子宮がんの初期症状
ここでは、子宮がんの初期症状を、子宮頸がんと子宮体がんに分けて解説します。
子宮頸がんの初期症状
子宮頸がんは、AIS(上皮内線がん)やCIN(子宮頸部上皮肉腫瘍)という前がん病変と呼ばれる状態を経て、がん化するケースが多いです。
初期の状態や前がん状態においては、症状はほとんどありません。がんが発生する場所が膣に近ければ発見しやすいですが、奥の方に発生したがんは見つけにくいといわれています。
子宮体がんの初期症状
子宮体がんの場合、初期でも症状が出ることがあります。自覚症状としてもっとも多いのが不正出血。月経ではない時期や閉経後の出血は、要注意です。出血の量は関係なく、おりものが褐色になる程度でも軽視しないほうがよいでしょう。
関連ページ:
子宮がんの初期症状とは?子宮体がんと子宮頸がんの違いやHPVワクチンについても解説
子宮体がんの初期症状とは?検査方法や発症リスクについても解説
子宮がんの検査
ここからは、子宮がんの検査について、子宮頸がんと子宮体がんに分けて解説します。
子宮頸がんの検査
子宮頸がんの検査は、子宮頸がん検診で「要精密検査」となった場合や、自覚症状がある場合等に行われます。どのような検査が行われるのか、詳しく見ていきましょう。
子宮頸がんの検査|細胞診
子宮頸がんが疑われる場合、通常は最初に子宮頸部の「細胞診」を行います。細胞診は、膣からブラシ状の器具を挿入し、細胞を採取する検査です。
子宮頸がんの検査|コルポスコピー
細胞診で異常が認められた場合や前がん状態が疑われる場合は、コルポスコピーという膣拡大鏡を用いた検査を行います。子宮頸部が正常なのか、異常なのか、また、浸潤がんや評価不能などで分類します。
同時に病変が疑われる箇所の組織を採取したり、子宮頸部の円錐切除術を行ったりするケースもあります。
子宮頸がんの検査|ハイリスクHPV検査
子宮頸がんの原因のひとつとして、HPV(ヒトパピローマウイルス)への感染があります。ハイリスクHPV検査は、細胞診で採取した細胞から感染の有無やHPVの種類を調べます。
子宮体がんの検査
子宮体がんの検査は、自覚症状がある場合や、婦人科検診等で異常が認められた場合等に行われます。検査の方法について、詳しく見ていきましょう。
子宮体がんの検査|病理検査
子宮体がんのほとんどは子宮内膜から発生するため、子宮体がんが疑われる場合は子宮内膜の病理検査を行います。
まず、子宮内にチューブやブラシ状の器具を挿入し、子宮内膜の細胞を採取する細胞診が行われます。細胞診で異常が認められた場合は、がんかどうかを確定させる組織診を行います。
組織診では、スプーン状の器具を用いて子宮内膜から細胞の塊を取り、顕微鏡で調べます。
子宮体がんの検査|子宮鏡検査
子宮鏡検査は、子宮体部に内視鏡を挿入して、がんの位置や形・状態などを調べる検査です。病理検査と併せて行われるケースが多いです。
子宮頸がん・子宮体がん共通の検査
ここでは、子宮頸がんでも子宮体がんでも行われる可能性がある検査について補足します。
内診・直腸診
内診は、医師が膣に指を入れて、子宮や卵巣などの位置、形状、硬さ、周囲の組織との癒着などを調べる検査です。場合により、直腸にも指を入れ、直腸やその周辺に異常がないかどうかを調べます。
超音波検査(エコー検査)
超音波検査は、おなかの上や膣の中に超音波を当てて、子宮や卵巣を観察したり、リンパ節等への転移がないか調べたりする検査です。子宮体がんの検査の場合、主に膣内を調べる経腟超音波検査が用いられます。
CT検査・MRI検査・PET検査(画像検査)
子宮頸がんや子宮体がんが疑われる場合、各種画像検査でがんの状態などを詳しく調べます。
CT検査ではX線を、MRI検査では磁場を使って、身体の断面を画像で調べる検査です。がんの広がりや、リンパ節、卵巣・卵管、周辺臓器や遠隔臓器への転移の有無などを確認します。
CT検査やMRI検査で転移の判断が難しい場合、放射性フッ素が入ったブドウ糖液を注射したうえで画像検査をするPET-CT検査が用いられることもあります。
遺伝子検査
子宮体がんは、遺伝性腫瘍のリンチ症候群などで発症リスクが高くなることが明らかになっています。
遺伝性腫瘍の家族歴があり気になる場合は、遺伝医学の専門家がいる施設での遺伝カウンセリングを受けることができます。専門家がいる施設については、全国のがん診療連携拠点病院等に設置されている「がん相談支援センター」で相談できます。
出典:「がん相談支援センター」とは|国立がん研究センター がん情報サービス
そのほか、有償の検査として、がんにかかりやすいかどうかを調べたり、がんの超早期発見を目的とした遺伝子検査もあります。血液を採取することにより、がんの原因となる遺伝子を詳しく調べる検査です。
関連ページ:遺伝子検査|GENEクリニック
子宮がんの検査について詳しくお知りになりたい方は、こちらからお電話ください。
子宮がん検診と予防
国が推奨している子宮がん検診は、基本的には「子宮頸がん」を対象としています。
子宮頸がん検診は、20歳以上の女性を対象とし、2年に一度の受診が推奨されている検診です。多くの自治体で公費検診を採用しており、一部の自己負担で受診できます。
子宮体がん検診は、指針として定められているがん検診がなく、自覚症状がある場合や、問診で医師が必要と認めた場合に、患者本人の同意のもとで子宮頸がん検診と併せて行われます。
子宮頸がん検診では、月経周期や自覚症状などの問診をおこなったうえで、先述した細胞診を行います。検診で「要精密検査」となった場合は、必ず医療機関を受診し、精密検査を受けることが推奨されています。
子宮頸がんの予防|HPVワクチン
子宮頸がんの多くは、性交渉により感染する「HPV(ヒトパピローマウイルス)」が原因であることが明らかになっています。
通常はHPVに感染しても、自然にウイルスが排出されますが、10%程度の人は感染が持続する可能性があります。長期にわたり感染が持続すると、前がん状態となり、やがて子宮頸がんに発展する可能性があります。
HPVワクチンは、初めての性交渉より前に接種することにより感染を防ぎ、子宮頸がんの約60~70%を予防できると考えられています。厚生労働省では、小学校6年生~高校1年生を対象に接種を推奨しており、対象者はHPVワクチンを公費で接種できます。
HPVワクチン接種後に気になる症状が現れた場合は、かかりつけ医師に相談のうえ、全国の協力医療機関でサポートが受けられます。
出典:
子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために|公益社団法人 日本産科婦人科学会
ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~|厚生労働省
関連ページ:
子宮頸がんは見た目でわかる?基礎知識から予防まで解説